竹破粋物によるマルチングが 土壌中の保水と水質に与える影

摘要

近年のわが国では放置竹林の増大が問題 視されている。竹自体が悪者という訳では なく、石油化学製品の普及以降から竹材需 要が減少し竹林が放棄され、さらに農山村 地域の労働者不足等からも耕作放棄地や里 山に竹が繁茂するようになったからである。 図1に全国の竹林面積と竹材生産面積、竹材生産量の推移を示す。1980年頃までは、 竹林は竹材生産のために管理されていたこ とがわかる。竹材生産量の低下とともに生 産面積が減少する一方で、竹林面積は若干上昇していることが分かる。林野庁によると2009年時点での全国の竹林面積159千ha に対し、約40%の63千haを九州地方、次 に中国地方が20%の32千haと続き、この 両地方で全国の竹林面積の60 %を占めてい る。九州地方での県別竹林面積は、鹿児島 が16千ha、大分が13千ha、福岡、熊本が 12千ha程で、この4県に九州内の竹林面積 の82%が集中している。