放射能汚染堆肥の切り返し作業時における放射線被曝量測定事例

摘要

放射性物質に汚染された飼料や副資材に起因して、比較的放射能濃度が高い堆肥が製造 され、その取り扱いが問題となっている。汚染堆肥の切り返し作業における作業者おょぴ 周囲の人間の放射線被曝量を知るため、実作業において空気中粉塵由来の放射性セシウム 量を測定して内部被曝線量を推定するとともに、空間線量率を測定して比較した。(1)堆肥切り返し作業中の内部被曝線量推定：畜産草地研究所内の堆肥舎において、所内産放射性物質汚染堆肥（4530Bq/kgFM (Cs-134とCs-137の合計）、水分41%)約10 tを供試し、バケツトローダ（Komatsu, WA100-3A,バケツト容量1.8m3)を用いて堆肥 切り返し作業を行った。作業中の空気をハイポリユームエアサンプラ(SIBATAHV-500F) を用いて吸引（地上lm、空気流量500L/min)し、粉塵を吸着させた濾紙（ADVANTEC GB-100R)の放射能を測定した。測定箇所は、（a)バケツトローダのキャビン内、（b)キヤ ビン外のステップ上（キャビン無しのローダを想定）、（c)堆肥舎の外の2地点（作業中心 から、堆肥舎正面に対してそれぞれ斜め45度方向に距離10mの位置）、である（図1)。