21世紀にむけた時代の変貌と技術

摘要

農業土木学会が70周年を迎える1999年は，21世紀を目前にして，時代の変遷を意識せざるを得ないことも含めて記念すべき年である。 振返ってみると，この年は実用の技術とともに発展してきた農業土木学にとって，奇しくも耕地整理法の制定（1899年），土地改良法の制定（1949年）という大きな出来事から100年，50年を数える年となっている。 この長い歴史の中で，農業土木学は時代によって変わる農政上の要請を受けて，着実にそれに応えつつ発展を続けてきた。 しかしながら，20世紀から21世紀への移行は，単に時間的な区切りとしてではなく，人類世界が乗り越えなければならない大きな変革点になると考えられる。この来るべき時代を受入れる各種の準備のために，近年における農業土木技術の発展を振返るとともに，現状の立場を確認することは重要であると考える。