農業流域での多点同時観測による浮遊土砂動態の検討－沖縄県における赤土流出モデル化に関する研究－

摘要

沖縄県では近年，過度の赤土流出が問題となり，新たな農地開発言十画および農地管理方法を検討するためには，集水域内での浮遊土砂の動態（侵食，運搬，堆積）の把握が必要となる。 本研究では，浮遊土砂の動態の把握を目的として，代表的な圃場整備地区を含む小流域において多点同時観測を行った。 観測は複数回の降雨イベントにおいて十分短い時間間隔で主に流量および浮遊土砂濃度を測定した。 額測結果から，それぞれの経時変化，浮遊土砂流出量，浮遊土砂粒径，そして沈砂池における堆砂量について検討した。 そして流域内の土砂収支を算定し，土地利用分布，沈砂池の構造および配置，そして出水規模の影響を考察した。 その結果，浮遊土砂流出は作物の被覆率の低い農耕地において顕著であり，沈砂池の構造および配置によつて堆砂量は異なる。 また，出水規模によって土砂の動態が異なることを実証した。