フラックス測定用テルペンガス自動濃縮採取装置の開発と性能評価

摘要

植物から放出される生物由来揮発性有機化合物（BVOC）の地球全体の放出量は，人間活動由来の揮発性有機化合物（VOC）のそれと同等以上と考えられている（Guenther et al．，1995）。 そのBVOCの一種であるイソプレン（C_5H_8）やモノテルペン（C_(10)H_(16)）は1分子当たりに炭素をそれぞれ5個および10個含むことから，それらの放出は森林生態系の炭素収支の評価において無視できないと考えられている。 実際に，熱帯林では生態系純CO_2交換量の約10％がBVOCとして放出されるという報告がある（Geron et al．，2002）。 また，モノテルペンは反応性が非常に高く，大気中でOHラジカルやオゾンと化学反応を起こし，光化学スモッグやエアロゾルの発生原因となる。 このように，植物から放出されるモノテルペンは地球環境や局地的な大気化学に人きく影響することから，その放出メカニズムや大気汚染物質生成への寄与度を明らかにする目的で，様々な研究が行われている（例えば，Ciccioli et al．，1997；Valentini et al．，1997：Christensen et al．，2000）。