九州、沖縄地域におけるトスボウイルスの発生動向

摘要

トスボウイルスはブニヤウイルス科（Bunyaviridae）トスボウイルス属（Tospovirus）に属するウイルスの総称である。 日本では6種のトスボウイルスの発生が確認されている（第1表）。 トスボウイルスに感染した作物は葉および果実にえそ輪紋や壊死斑点が生じ，茎頂部が壊死するため，作物の重安病害と位置づけられている。九州においてはトマト黄化えそウイルス（TSWV）が主にキクを中心とした花井作物に発生し，被害を与えている。 また，近年，アイリスイエロースポットウイルス（IYSV）およびメロン黄化えそウイルス（MYSV）の発生が確認され，発生地域の拡大とともに被害の深刻化が危惧されている。 沖縄では，スイカ灰白色斑紋ウイルス（WSMoV）がスイカに大きな被害を与えている。 本稿では，九州、沖縄で発生しているトスボウイルスの特徴、発生状況および対策について概説する。