生物窒素固定の農業における実用性（7）－アクチノリザル植物と共生菌フランキア-

摘要

マメ科植物が根粒を形成して窒素固定を行うことは広く知られている。しかし，マメ科以外の植物（いわゆる非マメ科植物）にも根堪が形成され，窒素固定が行われていることはそれほど広範囲には知られていない。その主な原因は，ダイスのように重要な作物が含まれるマメ科植物ーリゾビウム共生に対しで，窒素固定を行う非マメ科植物はほぼすべてが樹木であり，研究対象としてのインパクトが小さかったこと，非マメ科植物の共生菌フランキアは放線菌であり，分離がマメ科植物の根粒菌に比べで著しく困難である上に，菌の生育速度が遅く，それほど魅力的な研究対象になり得なかったことである。 しかし，近年環境問題や森林生態系などに対する関心が高まるにつれて，徐々にではあるがフランキア共生非マメ科窒素固定植物（アクチノリザル植物と稔称）が一般に知られるようになってきた。 本稿では，まずアクチノリザル植物にどのような梓物種が含まれかを述べ，共生菌であるフランキアの諸特性や宿主特異性，フランキアと宿主植物の環境ストレス耐性，最後にアクチノリザル植物ーフランキア共生系をいかに農業に利用するかについて期待を込めた展望を述べる。