光による昆虫管理（誘引と行動制御）

摘要

「飛hで火に入る夏の虫」とは，昆虫と光の関係を良く表現したものだと感心する。 ロウソクの光に集まった夜間活動性の昆虫が炎によって死亡する場面を見ていると，害虫防除の歴史が「たいまつ」や「かがり火」から始まり，江戸時代は行灯（あhどh），明治中期からは石油ランプ，大正時代からは白熱灯の誘蛾灯にと進歩した経緯に納得する。 本小文では，この光による昆虫の行動抑制技術の歴史について，害虫防除を中心に述べる。 最初に白熱灯から青色蛍光誘蛾灯による大量誘殺技術への大発展とその終焉を記し，その後，誘蛾灯悪影響論議の発端，今日的観点からの光による生物多様性，希少野生生物への悪影響論，地域生物の生活に配慮した光源開発，水域環境調査を目的とした昆虫の水中ライトトラップなどを記し，最後に，青色誘蛾灯から端を発した黄色灯による害虫防除技術について，その経緯を述べる。