培養苗生産の新方法-物理環境調節と無糖培養

摘要

本稿では、過去1数年にわたり，筆者ら研究室において行われてきた培養苗生産における物理環境調節および新培養法（無糖培養法または光独立栄養培養法）について，現状と将来予測を交えて紹介する。 21世紀における地球人口の急増に伴う食糧、燃料の不足と環境悪化を解消するには，今後，遺伝的に優良なイモ類，工芸作物，植林用樹木などの苗を大量に必要とする。これらの苗は，従来，挿し木などによる栄養繁殖あるいは種子繁殖により生産されてきた。 最近では，組織培養技術により生産された苗（培養苗）に対する需要が高まっているが，幅広く普及するには至っていない。