稲の生長を支える根〔14〕 一地上部の生長の良否は根のそれによつて規定される一 (その7)稲の，根の生理（続き）

摘要

作物の養分吸収は根の好気呼吸に密接に関係するが，呼吸酵素系の終末酸化酵素には鉄をco-factor に持つ酵素，銅をco-factorに持つ酵素の2系統があ る.稲、麦を初めとする作物間の，銅酵素，鉄酵素の 活性の差異，およびそれらと鉄欠乏症の発現との関 係を解明するため（鉱毒地帯に発生する陸稲の鉄欠 乏萎黄病の発生原因追及に端を発して）鉄酵素としてcatalase,銅酵素としてascorbic acid oxidaseを中 心に検討した（三井'矢崎l%0a).その結果，catalase 活性を作物別、器官別に比較すると，根では陸稲-水稲 > えhどう > なたね、小麦、大麦（表7-9),葉 では陸稲、水稲 >大麦 > えhどう、小麦 > なたね（表 7-10)となり,ascorbic acid oxidase活性については， 根では大麦 > えhどう > 小麦 > 水稲〉なたね > 陸 稲（表7-9)，葉では大麦、小麦 > えhどう > 水稲> なたね > 陸稲となった（表7-10).このように，作 物および器官別のcatalaseとascorbic acid oxidaseの 活性の強さには顕著な相違があり，ascorbic acid oxidaseに対するcatalaseの比を取ってみると，大麦 >小麦》えhどう > なたね》水稲 >陸稲の順で作 物は3群に大別できる.