稲の生長を支える根〔13〕 一地上部の生長の良否は根のそれによつて規定される一 (その7)稲の，根の生理

摘要

根は養水分吸収機能を有し，地上部の水と養分含 有量はそれらに依存する.根で吸収された水と，養 分，とくに窒素によって葉で光合成が営まれ，炭水 化物が生産される.その炭水化物は稲体の構成成分 や呼吸の基質，子実中の蓄積養分となる.根にはァミノ酸合成機能があり(吉田、高橋1958b, 1968a), それらのアミノ酸を用いて蛋白が合成される（吉 田-高橋1958b, 1968a, Yoneyama and Sano 1978). 地上部の種々の代謝'生理的機能は主としてそれら の蛋白を使って営まれ，光合成反応に不可欠の Rubiscoもその1つである.根にはzeatin, zeatinriboside, zeatin ribotide (Yoshida et al.1970, Yoshida and Oritani 1979), conjugated zeatin (Soejima et al. 1992, 1995)のようなcytokinin合成機能があ り，それらの働きによって地上部の老化が抑制され る.