稲作の機械化，特に田植機の開発とそれにともなう栽培技術，生理、生態等の変化〔3〕

摘要

田植機とともに稲作の春、秋作業の2大ピークを なす刈り取り作業はコンバインハーべスター(単に コンバインと言われることが多い)め開発にまり機 械化され，続いて田植機の開発により稲作の機械化 一貫栽培体系が完成したが，これら2つの機械の開 発のされ方には大きな違いがある.すなわちコンパ ィンハーべスターは倒伏し，そのため往々にして 湿oていることがある稲を驚異的といえるほど刈 り残しのないように立ち上げる機構（「刈り取り部」 の「倒伏適応性」）は新規であるが，その他の多く の部分，すなわち脱穀部（こぎ胴，処理胴，振動板， 選別部）」や「穀粒取り出し部（排出装置，ダンク 容量，排ワラ処理装置）」はすでに存在した機械を 改良し，それらを組み合わせることによつて開兖さ れた（といっても水分含量が高い籾やワラの機械づ まりがないようにした改良は相当なものであるが）. これに対して田植機は完全に無の状態から開発さ れたのであってその点で大きな違いがあるし，まさ に農業構造改善という国家的プロジェクトに答え た開発であった.