農業の経営主体と法人 . 企業の政策的位置づけの変遷

摘要

農政および農業諸制度における農業の「担い手」 像や経営主体の位置づけは変化してきた.同じ家族 経営であっても，戦前までの小作農から戦後農地改 革による自作農，農業基本法（1961年制定）下の「自 立経営」とその後の「中核農家」，一方で家族経営 の枠組みを超えた「協業経営」（共同経営）や集落 営農が農政上位置づけられてきた.また，農地改革 後の農業発展の中からそれまでの個人（自然人）に 加え，「法人」（1962年農業生産法人制度の創設）が 経営主体として登場した.貿易自由化に対応して巿 場開放が迫られる過程では国内農業の効率化が求 められ，「効率的かつ安定的な経営体」（1992年「新 政策」），「認定農業者」が前面に押し出された.