半矮性遺伝子sd1を導入した短稈コシヒカリ型の水稲品種'ヒカリ新世紀'

摘要

良食味の品種「コシヒカリ」は1956年に品種登録され,作付面積が1977年以降に急増して1979年以降作付け第1位となり,日本で最も消費需要が高く, 4割近くを占めている(農林水産省総合食糧局計画課2007).県によっては栽培面積が6割に及hでおり,このようにあまり限られた品種が占めるようになると,一遍に大きな自然災害をうける恐れがある.したがって,新たな品種を導入して遺伝的に多様化する必要がある.とりわけ, 「コシヒカリ」は梓が長くて倒伏しやすいため,収穫を困難にして品質低下を招くことが問題であった(Kashiwagiら2008).昨今は,大型の台風が多発することによって大規模な倒伏害を被るようになり,全国的に問題になっている.したがって, 「コシヒカリ」を遺伝的に短梓化して倒伏しにくく改良することは,わが国品種改良における30年に及ぶ悲願の重要課題となっている.