農協の販売事業における合併効果発揮のメカニズムと効果発揮のための課題 －長野県松本ハイランド農協を事例として－

摘要

今日，販売事業における広域農協合併の経済効果は，事業面での規模の経済の獲得と取引交渉力の強化とされている．すなわち，それは販売事業における適正規模の確保によって事業の合理化を実現することである．その際，販売事業面からみた適正規模は，事業の技術的条件，事業をめぐる市場条件，事業の構成などによって規定される1）．したがって，各事業の適正規模は，事業を推進するための諸機能と取扱い品目によって異なる．同時に，農協あるいは連合会の事業機能は，産地間競争戦略における戦略的機能の性格を有する．したがって，販売事業における合併の経済効果を捉える際には，連合会による機能補完も視野に入れて検討されなければならない．