中国の農村政策にみる農家楽の政策的意義に関する考察

摘要

2004年に胡錦濤、温家宝政権が始動して以降， 中央政府は都市と農村の格差是正を重要課題とし， "三農"問題"の解決に力を注いできた.2006年か らは，社会主義新農村の建設というスローガンが 打ち出され，都市と農村の調和の取れた発展や"三 農"問題の解決に向けてより一層の力が注がれてい るが，依然として都市と農村の格差拡大に歯止めが かかっていないというのが現状である. わが国の中国における社会主義新農村の建設と農 村問題に関する研究は少なからずあるが，農家楽を はじめとする郷村観光の側面から，"三農"問題へ の中国政府のァプロ一チについての研究したものは 見受けられない.郷村観光は近年，中国において急 速に発展しており，2005年と2006年の2連休ゃゴー ルデンウイークにおける都市住民の観光の70%を 占めている.また，全国の郷村観光景区における接 待人数は毎年3億人を超え，観光収入は400億元を 超えている4).このことから，中央政府は近年，都 市と農村の格差是正や"三農"問題の解決に向けた 有効手段として郷村観光に注目し，より一層の発展 を目指して取組hでいる.