インドネシアの1997年大森林火災による地球大気環境への影響

摘要

1997年の7月頃から，インドネシアで森林火災が数ヶ月にわたって発生し，それによって生成されたスモッグがシンガポールやマレーシア半島にまで運ばれ，健康被害や視程の悪化による航空機の墜落事故など，種々の深刻な影響を各方面に与えたことは，まだ記憶に新しいことである。 このような大規模な森林火災とそれによる広域の大気汚染現象は，1980年代から平均して数年毎に発生しており,エルニーニョの発生年とよく対応していることがわかっわ。エルニーニョが発生すると，インドネシア付近は，下降気流の場となるので雨を降らせる積乱雲が発達せず，乾燥して干ばつ気味となり，雨期の到来も遅〈なる。 そのため，乾期に発生する森林火災などは，燃える範囲が広がり，また長期間続くので　 発生した汚染物質は，高さ数kmより下層の大気中に閉じこめられるために，森林火災による被害や影響が大きくなる。