ヘアリーベッチに含まれる植物生長阻害物質シアナミドの発見

摘要

ヘアリーベッチ（Vica villosa Roth）（写真1）は,　 ソラマメやカラスノエンドウの仲間で、明治時代に牧草として導入された。花がフジに似ているのでシラゲクサブジ、あるいはナヨクサブジの和名がある。マイナス20°Cまで耐え、日本では北海道以外の各地で越冬が可能な越年草である。 農業環境技術研究所で1990年ころから研究を開始し,　 他感作用（アレロパシー）が強いことを見出した。 秋播種で春先一初夏に圃場を全面被覆して雑草をはば完全に抑制し、開花後一斉に枯れて敷き藁状になる。10ア一ルあたり10－20kgの窒素固定をして緑肥となることから、遊休農地や果樹園の粗放管理に適していることを報告したが、他感物質は明らかでなかった。