ため池の環境保全活動に対ずる住民意識空保全活動の活性化方策 －兵庫県加古川市の寺田池保全活動を対象にしで－

摘要

兵庫県は全国で最もため池の多い県であり，その個数は約44，000にもおよぶ。 ため池は本来の目的である農業用水の潅漑施設としての機能の他に，防災機能，親水機能，良好な景観の形成機能などの多面的機能を有しており，更には，生物の多様性維持にも大きな役割を果たしている。 そのため兵庫県では，受益地面積0．5ha以上のため池を保全する条例を作るなどしてその保全や今後の活用法の検討に力を注いでいる。 ため池の多面的機能を十分に発揮させるためには，池の自然環境を保全し，適切な推持、管理を継続して行なっていく必要がある。 そのためには，地域住民が協力し合うことが不可欠である。 かつては，ため池の周辺住民のほとhどが池の水を利用して農業を行なっていた為，地域住民が協力してため池の椎持、管理作業を行うことは比較的容易であった。 しかしながら，少子、高齢化や後継者不足などによる農業従事者の減少と，ため池周辺の田畑の宅地化の急速な進行により，地域住民における農家の割合が減少し，住民の生活スタイルが多様化してしまった今日においては，住民が協力し合ってため池の環境を保全し，維持、管理していくための活動を行うことが困難な状況となっている。