東日本大震災津波被災地における地域コミュニティの再建をめぐる課題—2013年1月の状況から一

摘要

東日本大震災からもうすぐ2年が経とうとしている。 2012年度は復興元年とも呼ばれ，住宅再建や産業再建 に閨わる事業が精力的に推進されてきた。実際，防災集 団移転促進事業や漁業集落防災機能強化事業，土地区画 整理事業，災害復興公営住宅等，住宅再建に関わる諸事 業の計画策定が進渉し，一部ではあるが工事が着工した 地区もある。他方，被災地における自治会や町内会などの地域コミ エニティ(住民自治組織）は，会員である住民が仮設住 宅や賃貸住宅（見なし仮設）等への分散居住を余儀なく され，また住民の地域外への転出も進hで，全般的に活 動が大幅に縮小している。それに加えて地域の復興の将 来像を話し合い，地域コミュニティの結束を高められる 機会であったはずの復興計画や復興事業計画の策定も， 住民側の分散居住の問題に加えて，行政側の人材、時間-ノウハウの不足や，策定体制の不備もあって，必ずしも 順調に進hできたわけではない。しかしその一方で，こ うした困難な状況にあっても，従来のコミュニティ活動 を再開したり，独自に復興推進組織を立ち上げて復興協 譲に望hだ地域もあった。本稿では，震災被災地におけるこうした地域コミュニ ティの現状を紹介するとともに，その再建をめぐる課題 を整理する。なお，本稿は震災から1年10ヶ月が経っ た2013年1月時点の状況を基にしている。