特集「西欧農村計画適用の功罪と展望」解題-

摘要

戦後，食糧増産時代から高度経済成長期を通して，わ が国の農村計画では，土地利用、施設計画，住環境、集 落計画，緑地、景観保全計画，社会組織、制度計画など 各専門分野に依拠したアプローチから，農山村地域の持 続的発展に資する研究，政策、事業の推進及び社会貢献 活動等が行われてきた。こうした状況の中で，これまで西欧の農村計画は常に 日本の農村計画のモデル的視点で語られてきた。例えば， ドイツ（旧西ドイツ）における土地利用秩序や農村整備 の手法，フランスにおける景観整備や居住環境整備の手 法，イギリスにおけるハヮ一ドの田園都市運動ゃグリーンベルトによる緑地計画，さらにはEUの農業、農村政 策（CAP)など。農村計画研究者は，こうした西欧諸 国の整備手法，理念，法制度などを学び，著書，学術雑 誌，シンポジウムなどを通して"事例解説"，"実態分析"， "日本との比較"を行ってきた。このようにして，"輸入" された技術、知識、情報は，日本の農山村地域の持続的 発展のために活かされてきた。その過程では農村計画学会 が果たした役割も大きいものがあった。