卜レーニング、センターにおけるゥマへルぺスウィルス1型ワクチンの接種率向上による集団免疫効果

摘要

ゥマへルぺスウィルス1型(EHV-1)は、日本中央競馬会の栗東および美浦トレーニング'センター（ト レセン）における競走馬の冬期発熱の主要な原因である。2008-2009年以前の流行期には、EHV-1 不活化ワクチンを3歳馬の一部に接種していたが、防御効果が十分でなかったことから、2009-2010 年の流行期から、在厩する3歳馬全頭への接種を開始した。本研究では、ワクチン全頭接種の効果を 検証するため、EHV-1および4型（EHV-4)(以降、両ウィルスを合わせてEHVと表記）感染による 発熱馬頭数、3歳馬および全世代のワクチン接種率について、接種体制変更前後で比較した。変更前 の1999-2000年-2008-2009年のEHV感染による発熱馬頭数の平均士標準偏差は、栗東トレセン では105±47頭、美浦トレセンでは66±44頭であった。接種体制変更後の最初の流行期には、 EHV感染による発熱馬がそれまでと同程度認められたが、2期目からは顕著に減少し、2010-2011 年-2013-2014年の平均は、栗東では26±12頭、美浦では18±12頭であった。3歳馬のワクチ ン接種率は、接種体制変更後1期目から、栗東では99.4%、美浦では99.8%の高値を示した。一方、 全世代のワクチン接種率は、接種体制変更後、段階的に上昇したことが明らかになった。これらの結 果から、EHV-1の流行を抑制するためには、流行の主体である3歳馬だけではなく、全世代のヮクチ ン接種率を高める必要があることが示された。