発情発見率を高める畜舎管理　北海道

摘要

近年，原油価格は高騰し，一方で地球温暖化対策としてのバイオエタノール生産などによって穀物価格も高騰している。 これらの生産コストの急騰によって酪農経営を取り巻く環境は非常に悪化しており，日本の酪農存続の危機といっても過言ではない。 家畜改良事業団による乳検データ統計によれば，2005年までの15年間において1頭当たりの305日補正乳量の平均は，北海道で1，200kg，本州で1，500kg伸びている。 一方，平均空胎日数は，15年間で平均27日延長している。 これらの乳量の伸びは，遺伝的改良，群管理や飼養管理の改善などによりもたらされたものと考えられるが，購入飼料に頼った飼料給与によるところも大きい。 飼料の急騰による経費削減が迫られる今，購入飼料の給与を抑える酪農家が増加している。 今後このような環境が続けば，さらなる空胎日数の延長を招くことは明らかであろう。 ここでは，空胎日数の延長に大きく関与する発情発見率の低下について，畜舎管理の観点から整理して対策を考えたい。