妊娠母豚の群飼育に関する研究

摘要

米国では，妊娠母豚の約70％はストールで飼育されている。 妊娠母豚のストール飼育は，動物愛護の観点からも，闘争を避けられること，個体別の飼養管理ができること，管理が容易であることなどの長所がある。 しかし，妊娠ストールにおいて母豚は必要最小限の面積で飼育されており，広い場所で飼育されている場合に比べて本来の行動を制限されていることになる。動物愛護の観点から，EU諸国では2013年には妊娠ストールが禁止されることになった。 米国でも妊娠ストールを禁止する試みが数多くの州ではじまっており，フロリダ州，アリゾナ州，オレゴン州ではすでに成功している。 加えてMcDonald's社などの小売業者からの圧力も強まっており，これを受けて北米の生産者は妊娠母豚のストール飼育に代わる飼育方法を思案している。 2007年1月にSmithfield社（世界最大規模の養豚企業）は，10年間で妊娠母豚の飼育方法を群飼育に移行するという声明を出しているし，その1週間後にはカナダのMaple Leaf Foods社が同様の声明を発表している。