北海道湧別町における牛ウイルス性下痢ウイルス（BVDV）に対する取り組み

摘要

牛ウイルス性下痢ウイルス（BVDV：Bovine Viral Diarrhea Virus）は，潜在性感染として農場内で広がり，牛群レベルで繁殖障害，乳量の低下し，さらには免疫抑制に起因した感染症（BRDC：牛呼吸器症候群ヤクリプトスポロジウムによる腸炎など）の増加などの経済損失をもたらすことから，Production limiting diseaseのひとつと認識されている。 このウイルスは潜在的に広がり，かつ多面的な症状を引き起こすことから，獣医師は農場で起こる様々な問題とBVDVとの関連性を常に意識しなければならない。 例えば，農場内で流産が多発したり，または育成牛の肺炎治療が増えたりした場合，その背景にBVDV感染の関与があるのか考慮しながら，直面する問題に対応しなければならないのである。