呼吸器疾患の臨床微生物学4：呼吸器疾患関連細菌による発病機序(前編)

摘要

牛呼吸器病症候群（BRDC ： bovine respiratory disease complex)は牛伝染性鼻気管炎，牛RSウィルス病，牛パラ ィンフルェンザや牛アデノウィルス病といったウィルス性 感染症を初発とし，これに細菌の続発感染が続くことに よって增悪されることが知られている。病巣から分離され る細歯ごしてはPasteurella multocida, Mannheimia hae-molytica, Biberstemia trehalosiを中心とするノ《スッレフ# に加え，Truperella pyogenesやレンサ球鹵属とレ、つたグラ ム陽性菌も散見される（表)。BRDCの進行過程は複雑で， ほかにもマイコプラズマなどが関与することもあり，ー概 に述べることは困難である。しかしながら，①飼育環境の 悪化や輸送によるストレスが引き金となり，②ウィルスに よる一次感染が成立し，③M. haemolyticaの二次感染か ら，(4)その他の病原体による三次感染へ……，という流れ 力5'代表的である12)。今回は，現場での各細菌種の簡便な鑑別や，我が国にお ける各病原体の疫学的重要性について簡単に解説する。