牛の蹄底潰瘍への多血小板血漿含 ゼラチン八イド口ゲルの応用

摘要

蹄底潰瘍は蹄底に角質の欠損が生じ，潰瘍化したもので ある。罹患率は低いものの，重度の跛行を呈することが多 いため.廃用の一因となる。農業災害補償制度家畜共済統計表によると，平成25年度では乳牛の雌などにおいて.死 廃事故ほ万8,538件のうち2万3,518件（14.8%)が運動器 疾患とされており，そのうち538件（運動器疾患の2.3%, 全体の0.3%)に蹄底潰瘍の病名が付されていた。一方，病 傷事故は139万6,863件のうち11万7,881件(8.4 %)が運動器疾患とされており，そのうち1万7.622件（運動器疾患 の14.9%,全体の1.3%)に蹄底潰瘍の病名が付されていた。 蹄底潰瘍は跛行の原因となるほか.乳牛において泌乳量の 低下を引き起こすと考えられているため.経済的損失の大 きい疾患といえる。蹄底潰瘍にはこれまで，罹患部位のデ ブリードマン，軟膏の塗布，削蹄ゃブロックの装着による 免重などの治療が行われてきた力s,治療は長期にわたるこ とが多い。このため.蹄底潰瘍の治癒を促進する治療法が 求められていた。