PRRSにおける免疫応答（1)

摘要

豚繁殖.呼吸障害症候群（PRRS)ウィルスと宿主であ る豚での免疫応答の関係については現在も多くの研究者に よつて研究が進められていますが，未だ不明な点が多く残 されています。今回はいくつかの研究報告の紹介を交えな がら，PRRSに関する免疫応答について明らかにされてい ることといまだに明らかにされていないことを整理します (表)。一般的に宿主がウィルスに感染した場合，初期反応とし て自然免疫，例えばィンターフヱロン（IFN) - a *3のよう なサイトカイン"産生やその刺激を受けて活性化したナチ ュラルキラ一（NK)細胞*cによる抗ウィルス反応などが 誘導されます。PRRSウィルス(PRRSV)が標的細胞であるマクロファージに感染した場合も，基本的に同様の免疫 機構が応答すると考えられます（図一1)。しカゝしPRRSV 感染の場合，こういつた初期反応が抑制されることが報告 されています1 一3)。この現象はPRRSVによる免疫抑制機構 のひとつと考えられていますが，その詳しいメカニズムに ついては解明されていませh。この宿主免疫応答の阻害は， 感染初期にウィルスが増殖するために有利な状況を作り出 し，その後に続く免疫応答を遅延させていると考えられて います。また，あるPRRSV株は免疫を抑制する因子の産 生を誘導するとの報告もあり，研究が進められています"。