汚染の除去（清浄化）のための消毒4

摘要

この方法の発祥は1960年代後半の第一次マレック病流行 時に茶蘭が発想し，筆者らも協力してシステム化したいわ ゆる「鶏体噴霧消毒法」に端を発する。 消毒では効果がないと言われていたマレック病であった が，鶏の体に直接消毒液を噴霧するというこの方法がウイ ルスを殺滅して感染を阻止したのか，あるいはウィルスを 内包する浮遊塵埃や鶏舎塵埃を沈降定着させて感染の機会 が減少したのか，理由は判然としないが，とにかく，野外 での育雛成績が改善したのは確かであった。その後，坂井 田が特定の疾病とは関係なくブロイラーの育成率の改善へ の効果を認め43)，それが舎内の浮遊塵埃数と浮遊細菌数 (実験では落下細菌数を計測）の減少によること，さらに は呼吸器系臓器への影響についても癸表した44)。図一la， b は舎内噴霧の結果であるが，塵埃量と浮遊菌数には著しい 相関があることが読み取れる。これは浮遊細菌の多くが浮 遊塵埃粒子に付着して浮遊していることを考えれば至極当 然の現象である。また，呼吸器官への影響も塵埃粒子によ るものか細菌感染によるものかは明らかにされていない せ,粘膜細胞の傷害が軽減したことを確認している。坂井 田は別の実験で，ブロイラーに単なる水道水を舎内噴霧し た場合は後期に呼吸器病が多発したが，消毒液の噴霧では 発生がなかったことを報告している45)。