酸塩基平衡異常の診断と治療8—代謝性ァシドーシス4

摘要

代謝性アシドーシスの分類はAnion Gap (AG)に基づ いて行われる。表-1にAGによる代謝性ァシド一シスの 分類を示した。AGが正常範囲内であれば，胃腸領域また は腎臓からの重炭酸イオンの喪失，プロトンの分泌障害ま たはプロトン排泄に必要なアンモニアの産生障害が考えら れる。またAGが高値であれば，内因性または外因性の酸 が産生または蓄積していることを示唆する。今回より2回にわたり，代謝性アシドーシスの分類とそ の特徴について紹介する。下痢によるアシドーシスは，重炭酸イオンを多量に含む腸液を下痢により喪失するため，正AG性代謝性ァシドー シスに分類される。腎臓機能が正常であること，また循環 血液量が維持（腎血流量を十分に維持できる程度）されて いればァンモニァ産生を介して十分量の重炭酸ィォンを産 生できる（詳細は，本誌2010年5月号p.60-63参照）。