中国、寧夏国旗自治区の酪農振興事情

摘要

北京空港から西へ約1，000km、航空機で1時間半ほど飛ぶと寧夏回族自治区（以下、自治区）の上空に達する。 眼下には、自治区を中部から北部に貫流する黄河上流沿いに開ける寧夏平原が広がり、その中心都市の飯川市に降り立った。 飯川市街には漢字の企業広告や政治宣伝があふれているが、白または薄いブルーの帽子をかぶった回旋（イスラム教徒）たちが中国語を操っている様子は、沿海部の中国とはまた違った雰囲気である。回族は元代に流入してきた西城（トルコ、ペルシャ、アラブなど）民族が起源とされるが、混血が進み、宗教的衣装を除けば外見上は湊民族と見分けがつかない。 飯川市のはるか西方には内蒙古自治区との境界に賀蘭山脈（標高3，556m）がそびえ、タクラマカン砂漠やゴビ砂漠から飛来する黄砂を防いでいる。 自治区南部は黄土高原や六磐山地（標高3，200m）が大部分を占め、ほぼ乾燥した気候で年間降雨量は200～500mm。 近年、中国内でも乾燥化が進む地域の一つである。 日本の東北地方と同緯度にあるので、気温は真冬でも氷点下10°C前後だが、当地の人々も最近の温暖化の傾向を口にする。 自治区全体で北海道の80％ほどの面積（6万6，000km~2）に人口約588万人が住み、その3分の1を回旋が占める。