関税を導入した国際貿易空間均衡モデルへの差額関税の導入に関する事例分析--票合意彦争市場の場合--

摘要

庄野,川口（1999a）による関税を導入した国際貿易空間均衡モデルは，狩野,川口（2003）により完全競争市場という限られた市場環境においてではあるが差額関税を扱いうるものへと展開された（差額関税ついての説明は食肉国際化問題研究会（1995）を参照）．しかし，狩野,川口（2003）は理論展開に止まっており，その有効性を示すには数値を用いた検証が必要である．したがって，本稿では数値例を用い実際に均衡解を求めることを課題とする．以下，狩野川口（2003）と同じ表記法や前提条件及びモデルを利用するものとし，第2節で均衡解を求める際の基本方針を示し，第3節でモデルの事例を実際に解き均衡解を求めることができることを示し，最後に第4節で本研究の含意と今後の課題について述べスすることとする. なお---同研究者の1人として協力してくれたドイツホーエンハイム大学農業政策学部博士課程1年のMs．MartinaBergenに謝意を表する．