水稲の打込み式代かき同時土中点播技術の開発

摘要

水稲作の省力化、低コスト化、軽労化を進めるため，日本型直播稲作技術の開発が農林水産省を中心に1990年代より始められた。 著者等は，移棉様式に近い安定した栽培管理が可能で，良食味品種にも適用できる直播技術として打込み式代かき同時土中点播技術を開発した。 本技術のキーテクノロジーは打込み式代かき同時土中点播機である。 本磯の第1の特徴は，代かきハローで仕上げ代かきを行いながら，開発した鋸歯形打込みディスクで教程の種子を打撃、加速し，10m／s前後の速度で代かき土壌中に打込むことである。 それによって5～15mnの良好な播種深さが得られ，安定した出芽率を確保することができる。 第2の特徴は，開発した点播用播種ロールで数粒の種子を鋸歯ディスクに間欠的に供給することにより楕円形状の多粒点播が可能となったことである。生育の中期、後期には株形成が進み耐倒伏性が強化されるため，肥培管理等が容易になる。 全国20の道県での実証試験アンケート調査と現地実証試験（福岡県）による播種精度、生育管理、収量等のデータを収集した結果，実用技術の見通しが得られ，軽労化と10～20％の省力、低コストが期待できると結論づけられた。 本機は1998年から3杜の農業機械メーカーで市販化された。