促成栽培イチゴにおけるイチゴ炭痕病菌Colletotrichum acutatum及びColletotrichum gloeosporioidesによる果実腐敗の発生

摘要

1998年10月下旬，佐賀県内の促成栽培イチゴ圃場において，果実が黒褐色の不整形病斑を伴い腐敗したり，讐や花びらに小斑点が発生し，花が枯れるなどの被害が発生した。 そこで，病斑部から歯を分離し顕微鏡によって形態を観察したところ，これらは炭厄病菌の特徴を示していた。イチゴ炭痕病菌には，主にColletotrichum acutatum及びColletotrichum gloeosporioidesがあり，前者は育甫期に柴枯れ，葉柄の折損（石川ら，1992，松尾ら，1992）を，後者は育苗期の苗に立枯れ（山本，1971）をおこすことが知られている。 一方，露地栽培を行う欧米では，両種による果実や花への被害が報告されている（Howard et al.，1981；Smith，1986）が，我が国においては自然発生条件下での発生に関する報告はほとhどない。そこで，本症状の原因を明らかにするために，病原菌の同定を行った。