繁殖母豚の後肢蹄球部病変の発生状況

摘要

3農場の繁殖母豚188頭について，後肢蹄底面の病変を調査した。また，蹄球部に病変がある5本の後肢をと畜場より入手し，組織学的検討を実施した。 調査した後肢蹄球部のびらh，亀裂および腫脹の有病率は，それぞれの農場で73.1％，48.7％および78.8％であった。 また，後肢内側蹄および外側蹄蹄球部のびらh有病率は，それぞれ8.4％および60.1％と外側蹄の方が有意に高かった。また，加齢に伴い蹄球部病変スコアの合計値が大きい個体が増加したが，さらに加齢が進むと，スコア合計値の極めて大きい個体は減少した。 これは，病変の進行に伴ってすでに淘汰された豚の存在を示唆するものと思われた。 また，仔立姿勢と蹄球部の病変の程度に関連性はなかった。 これは豚が主に蹄球部ではなく蹄底部で着地しており，かつ蹄球部びらhは病理組織学的には角化克進であり，痛みを伴わないためと考えられた。