新潟県中越大震災で被災した一酪農家の経済的影響と経営再建に向けた取り組み

摘要

2004年10月23日に新潟県中越大震災で被災した一酪農家の経済的影響と経営再開までの経過について調査を行った。地震直後は道路やライフラインが寸断され，牛舎倒壊の危険性から成乳牛すべてを売却し経営が中断された。牛舎修理費など再建費は約2，200万円と算出され多額の負債を抱えたが，再建に向けた酪農家本人の熱意と関係者の協力によって，震災から5カ月後に搾乳牛を導入し生乳出荷を再開した。 災害時の畜産現場における緊急対応の整備が必要であると思われ，再建後は関係機関が協力′し生産性回復に向けた被災農家への技術的バックアップと精神的サポートが重要であると考えられた。