アイノウイルスとアカバネウイルス野外感染牛における異常産の病理学的比較

摘要

宮崎県内で1995年と1998年にそれぞれ流行したアイノウイルス感染症325頭とアカバネ病584頭について病理学的観点から異常産の発生形態を検討した。 前者では，異常産の発生は一峰性であり，大脳，脳幹部，小脳に強い病原性を示し，体形異常と大脳脳幹部欠損が同時に発症するのに対し，後者では，異常産の発生初期に脳脊髄炎，中期に体形異常，後期に大脳欠損と三峰性を示した。 両者の発生形態が異なる要因としては，胎仔の両ウイルスに対する感受性や中枢神経系の組織損傷度の差異によるものと考えられた。