乳牛の子宮蓄膿症治療のための子宮洗浄器具の考案と それを用いた治療効果

摘要

子宮蓄膿症は受胎成績を著しく低下させる。子宮洗浄後に抗生物質を子宮内注入する方法は，子宮 内膜炎の治療法として効果的であることが知られている力ミ'，子宮蓄膿症に対する治療効果についての報告はない。また，粘稠性の高い膿が大量に貯留し，プロスタグランジンF2。製剤等のホルモン剤投 与による治療が奏功しない難治性の子宮蓄膿症について，子宮洗浄を行う治療の実施は時間と労力が かかるため敬遠されがちである。今回子宮内の膿を短時間で簡便に排出できる子宮洗浄器具を考案 し，本器具を用いて子宮内の膿を排出した後，子宮洗浄を行ったところ，容易に子宮洗浄が行えるよ うになつた。そこで，当院で子宮蓄膿症と診断した乳牛549頭のうち，ホルモン剤治療が奏功しなかつ た難治性の子宮蓄膿症74頭を，子宮洗浄を行つて治療した31頭と再びホルモン剤で治療した43頭の2 群に分け，それらの受胎成績について比較検討したところ，子宮洗浄を行った群において有意に良好 な成績が得られた。