獣医分野におけるデータの解析方法

摘要

今回は，前回（「家畜診療」58巻10号）5)に引き続き 質的データの解析法について述べる。繰り返しにな る力、質的データとは，個体や農家をある定性的な 特性（属性）によって分類したデータで，雄と雌，抗 体陽性,陰性，臨床症状があった,なかった，ある 対策を取っている.取っていないなど，その個体が 持つ属性あるいは，ある事象が起きたか起きなかつ たかなどによって表されるデータである。得られた データが質的データである場合，「家畜診療」58巻 10号586ページ図1のフローチャートにしたがい解 析方法を選択する。1種類のデータ2 np<5 orn(1-p)<5,n>=50npあるいはn(1-p)が5より小さく nの数が50以 上であった場合，すなわち非常に大きい母集団の中 から少数が対象となるような質的データを扱う場合 には，ポアソン分布を用いる12 4'。ポアソン分布は， 一定の地理的あるいは時間的な幅の中でまれに発生 する出来事の回数に適用されることがあり，社会学 の分野などでもしばしば用いられる確率分布の一つである。有名な例として「馬にケラレテ死ぬ確率」 があるが，それ以外にも1日当たりに特定の病院に緊急入院する患者の数とか，lmLの希釈された溶 液中に含まれる特定の細菌の数，1日に受け取る電 子メールの件数，1分間のウェブサーバ一へのァク セス数などもポアソン分布にしたがう場合がある。ポアソン分布の公式は下記のように表され，平均 と分散が等しぐA=npという一つだけのパラメ一 ターで表される特徴を持っている。