デキサメサゾン，PGF2a製剤，E2B同時 投与による牛の分娩誘起法の検討

摘要

デキサメサゾン10mg，プロスタグランジンF2(PGF2)製剤（クロプロステノール）500mug，安息香 酸エストラジオール（EB) 2mg (未経産牛には3mg)を牛に同時投与する分娩誘起処置を行い，分娩 誘起状況を検討した。黒毛和種36頭，ホルスタイン種54頭に実施したところ，胎子娩出までに要した 時間は，黒毛和種未経産牛では約31時間であつたが，黒毛和種経産牛ならびにホルスタイン種未経産， 経産ではいずれも約27時間であった。しかし，品種，未経産,経産，妊娠胎子の性別，在胎日数によ り処置から胎子娩出までの時間に差があり，分娩予定日（黒毛和種285日，ホルスタイン種280日）前の 誘起処置では大幅に遅延する傾向がみられた。また，分娩時産子死亡率が14.3%と高い1牛群につい て事故率低減を目的に同ホルモン剤投与による分娩誘起を行つたところ，同牛群の分娩事故率は同処 置導入後，漸次低減した。以上のように，本分娩誘起法はある程度分娩時間の予測が可能であり，分 娩事故率の低減がみられたことから，分娩事故防止対策として有効な方法であると考えられた。