侵襲時の栄養管理をやってみょう-末梢静脈栄養輸液の基礎と応用-第2回侵襲時の糖質代謝一糖質輸液剤

摘要

糖質は，生体エネルギーの供給源として最も重要なエネルギー基質である。TCA回路に入って酸化 されることによって利用され，ATPを産生する。図 1にエネルギー基質の代謝経路について概略を示しォこ。グルコースが球，用できれば生体は優先的にグル コースを利用する。しかし，侵襲時にはエネルギー需要が増加または経口摂取の不足によりグルコース が欠乏したり，グルコースの取り込みが抑制される。 そのため脂質を相補的に用い，またはダリコーゲン と蛋白異化によつて供給されるアミノ酸などの基質 を利用した糖新生が生じる。侵襲時では，（1)細胞内基質代謝能，および(2)ェ ネルギ一基質の利用能の両者が大きく変化する。ェ ネルギー代謝とは生体にエネルギーを供給するため の基本的な生体代謝であり，これはおもに糖質，脂 質が担う。脂質はbeta酸化によってTCA回路に入る ことで利用されるが，脂質の酸化は（1)外因性グル コースの不足，およびグルコースの利用能が低下した場合に限られる。侵襲時での糖質代謝および糖質 輸液療法を理解する、ためには，病態に応じた内因 性、外因性のエネルギー基質代謝（酸化)，脂質代謝 に関する知識，が重要である。 本稿では，はじめに基本的な内因性グルコース産 一生や糖質利用，侵襲時での糖代謝の変化，牛での糖 要求量について紹介する。