ケ卜ーシス牛に対するブドウ糖酢 酸リンゲル液の作用と応用

摘要

ケトーシスは，泌乳最盛期に乳量の急激な増加伴ってェ不ルキー不足(negative energy balance ： NEB)が生じて血糖値が低下し，生体内にケトン体 (ァセト酢酸，ベータヒドロキシ酪酸，アセトン）力 増量して食欲減退や乳量減少，異嗜，ケトン臭の症 状を発現した状態であり，軽度の肝脂肪化の組織像 を示す。本症の発生率は4-5%，好発時期は分娩 後5週以内であり，主原因は飼料中の炭水化物不足 である。ケトーシスの治療は，わが国では20-50% ブドウ糖液500-1，000 mL/日の糖質輸液とデキサメ サゾンとプレドニゾロンの副腎皮質ホルモン投与，グリセリン500 gの経口投与が，諸外国ではブドウ 糖250 g/日の静脈内投与，デキサメサゾン10-30 mg/日とプレドニゾロン100-200 mg/日の筋肉内投与，グリセリン0.5-1.0 L/日とプロピレングリコー ル1L/日の経口投与力行われており，糖質代謝異常 の改善を目的とした高張ブドウ糖液の静脈内投与と 副腎皮質ホルモンの併用が最も有効な治療法とされ ている。今回，肝臓障害に対する治療としてヒト医 療で使用されているブドウ糖酢酸リンゲル液(DAR) をケトーシス牛に投与して，25%高張ブドウ糖液お よび5 %ブドウ糖液の血液動態とを比較した。