牛コクシジゥム病の検査法の一例と 検査材料の長期保存

摘要

牛のコクシジゥムEimeria spp.は，子牛に下痢を 引き起こす原虫である。重症牛は血便を排泄し，耐 過してもその発育が阻害されるため，本原虫は農家 に大きな損失を与えている。本邦では，2008年9月 よりトルトラズリル製剤がEimeria属原虫の感染に よる牛のコクシジゥム病の予防薬の一つとして使用 されている1)。投薬による予防効果の判定には，病 原体の動向を把握することが重要であり，そのための,最も適切な手段は牛の糞便内のォーシスト数を経 時的に調べることである。本小論では，牛コクシジ ゥム病での臨床実務上適当と思われる糞便内ォーシ ストの検査法の一例について述べる。なお，ここで は，"牛コクシジゥム"は牛に寄生するアイメリァ属 原虫Eimeria spp.を示すこととし，これらの原虫に よる感染病を"牛コクシジゥム病"とする。