泌乳牛における小型ピロプラズマおよびへモプラズマ混合感染症例と同居牛の浸潤調査

摘要

小型ピロプラズマおよびへモプラズマの混合感染が認められ重度の貧血を呈した泌乳期の乳牛に遭遇し，ォキシテトラサイクリン（OTC)を主体とした治療を試みた。OTCの投与前後で，小型ピロプ ラズマの寄生赤血球率に変化はなかったが，へモプラズマでは顕著に低下した。また，輸血および 鉄剤などの貧血への対症療法を実施し，元気、食欲が回復，Ht値も徐々に増加したため，経過観察 後に乳の出荷を再開した。小型ピロプラズマとへモプラズマの混合感染が認められた本症例では， OTCの投与および貧血への対症療法が効果的であることが示唆された。また，同居牛における浸潤 調査では，全頭において小型ピロプラズマおよびへモプラズマの浸潤が疑われた。本農場では衛生 対策および飼養管理の徹底が必要であると考えられた。