新潟県における膠増殖性腸炎（慢性型）の発生状況

摘要

1999年に下痢を呈した2か月齢の発育不良豚について病性鑑定を実施し、Lawsonia intracellularis（Li）による慢性型の豚増殖性腸炎（PPE）を初確認後、2000年に2農場の子豚64虎、2001年に3農場の一日豚76頭、2002年に6農場の子豚129頭と慢性型PPEが増加傾向。 それらは病理解剖時には粘膜肥厚の程度は個体差があったが、病理組織学的に小腸下部粘膜の陰席上皮細胞の腺腫様過形成を全例に認め、Warthin，Starry染色により過形成した陰席上皮細胞質内にLiを確認した。 また、人腸への波及も24例中21例と高率であった。 病煩検索としてPCRにより下痢便を呈した油性鑑定豚からLi遺伝子が検出され生前診断として活用できた。 PCRの検束手順について検討し、より検川率の高い方法を川いて発生農場における臨床症状を伴わない84頭の正常便についてPCRによるLi遺伝子の検出を試みたが、全例陰性であった。 今回の病性鑑定事例ではPPEが二次感染を容易にする状態の恋化が認められ、Li汚染農場ではPPEが消化管感染症の重安な基礎疾病になると推察され、今後、H血性下痢や突然死する急件型とともに、下痢、発育不良豚についてもPPEを意識した飼養環境の改善等の対策が必要であることが示唆された。