受胎率向上のための発情徴候評価と授精記録管理

摘要

私が家畜人工授精業を営む宮崎県都城市は、宮崎県の南西部に位置 し、鹿児島県と接した霧島盆地の中にあります。市の基幹産業は農業であり、市町村別農業粗生産額が約698億円で全国2位（H18)、なか でも畜産業の占める割合が82%と高く、肉用牛と豚、鶏の産は全 国1位となっています。都城市の黒毛和種の飼養頭数は約26， 000頭、乳用牛の飼育頭数は約 9, 000頭で、私は年間に黒毛和種約1,200頭、乳牛約90頭に人工授精を 行っています。授精業務を行う上で、授精回数を減らし、受胎率を上げることは常に心がけていますが、 授精の適否を判断するための指標として、発情徴候の強弱を確認し、不適と感じた場合には、 飼養者に説明し、授精を見送ることもあります。しカゝし、分娩間隔を短縮したい飼養者にとつ ては、受胎の可能性が低くても授精してほしいと依頼されることもあり、受胎率の向上と、 生産性の向上に悩むことがありました。そこで、授精結果を記録し、私自身の授精適否の判 断力を確認すると同時に、その記録を個体毎に管理することで受胎率向上へ活用できないか 検討しましたので、その概要を報告します。