低濃度汚染土壌における野菜への放射性核種の移行

摘要

2011年3月11日に福岛県で発生した原発事故により， 放射性核種が各地に飛散した.このため，汚染の程度が 低いと考えられる地域でも，放射性降-ド物による農産物 の直接汚染の懸念が広がった.そこで，事故の約2力月 後から，東京都两東京市で栽培途上にある野菜の放射性 セシウム（~(134)Csおよび~(137)Cs)による汚染の検討を始め たしかし，時問が経過すれば経根吸収による放射性 核種の移行（間接汚染）も問題になる.このため，人為 的に高い濃度の放射性核種を培地に付与した移行実験が なされており，稲，ブドウ(5)，キノコ(6)などに加 えて，畑作物に関する報告もある(卜9た一方で，食材に 及ぼす環境放射能の影響を評価した報告はあるもの の，移行実験では，たとえば490 kBq/potという高濃 度の~(137)Csや~(134)Csが用いられていることが多いこ こでは，低濃度汚染畑地土壌で栽培されたジャガイモへ の放射性セシゥムの影響について，概要を述べる.