全国クリ研究大会

摘要

農研機構におけるクリの育種は 1947年に開始されました。開始当初 は加工用、輸出用の品種育成に向け、果 実品質と栽培性、渋皮のむきやすさの いずれもが優れることを目標としまし た。しかいその後間もなくクリタマ 八'チが急速に分布を広げ、大きな被害 を与えるよっになったことから、1952 年以降はクリタマバチ抵抗性に最も 重点が置かれるよっになりました。そ の成果として、1959年に「筑波」、「丹沢」、「伊吹」を、1968年に「石鎚」をそれぞれ抵 抗性品種として育成しました。その後、これら の中で「石鍵」以外の品種に対して、寄生性が変 化したクりタマパチが加害するようにな0、抵 抗性育種の継続が求められ、1981年に「国見」、 1991年に「紫峰」をそれぞれ育成しまた。「丹 沢」、「筑波」、「石鎚」は、それぞれ早生、中生、 晩生の主要品種として広く普及し、現在3品種 で総面積の約50%を占め、「紫峰」も栽培面積を 伸ばしています。一方で、中国から導入された クリタマパチの天敵であるチュウゴク才ナガコ パチが1980年代初めに農研機構内の圃場に放 飼され、数年後にはクリタマバチによる被害が劇的に減少しました。このため、1990年代に入 ると抵抗性育種は休止せざるを得なくなり、育 種目標を良食味品種育成に重点化した成果とし て、2002年に「秋峰」、2009年に「美玖里」をそ れぞれ育成しました。中でも「美玖里」は、果実 品質と収量性が良好な品種として栽培面積が伸 びています。また、90年代終わり頃になって、 渋皮がむきやすい形質も目標として視野に入れ 始めた結果、2006年に傷を入れて軽く加熱する ことで渋皮がむきやすい「ほろたh」が育成さ れました（図1)。「ぽろたh」は、「丹沢」と比較 して栽培性、果実品質もともに同程度以上であ ることから（表1、2)、2014年時点で215haと