三番茶不摘採園における秋整枝位置の高低が翌年の一番茶に及ぼす影響

摘要

三番茶不摘採園における秋整枝位置の高低が翌年一番茶に及ぼす影響を調査した。処理は，軌条走行式摘採機を用いて二番茶摘採面の25～80mm上の高さまで5mmまたは10mm間隔で整枝を行った。 また，秋整枝位置の高低に整枝時期，一番茶の摘採位置など他の要因とも組み合わせて，3つの試験を行った。 　 秋整枝位置の高低が翌年一番茶に及ぼす影響を，過去の研究結果も含めて共通した現象をまとめると，以下のとおりである。 1，秋整枝位置が低いと整枝直後の茶株面における第1側芽数は増加し，翌年一番茶の新芽数も増加した。 その一方で百芽重は減少し，芽数型の新芽になった。 2．萌芽期に及ぼす影響については判然としなかったが，摘採期については秋整枝位置が高いと遅くなった。 3．収量については，秋整枝時期や一番茶の摘採位置との組み合わせによって一部異なる結果もみられたが，秋整枝位置が二番茶摘採面より40mm以下の高さになると減収する傾向であった。 4．品質については，二番茶摘採面から40～60mmの中程度の秋整枝位置で官能審査点が高い傾向であった。 一方，秋整枝位置が二番茶摘採面から70mm以上になると，形状，色沢，香気，水色，滋味とも低下する傾向であった。 以上の結果，一番茶における生育の早晩，収量性，品質から総合的にみて，三番茶不摘採園における秋整枝位置は，二番茶摘採面から50～60mm上が適当と考えられた。