乳牛における閉塞性黄疸の1例

摘要

食欲不振、泌乳量減少を呈した5歳9カ月齢のホルスタイン種雌乳牛が、進行性に重篤化する黄疸を呈した。血液生化学検査においてγGTP活性3020U／L、また超音波検査により高度に拡張した胆嚢を認めたため、臨床的に閉塞性黄痘と診断した。剖検では、胆嚢は40×20×15cm大に拡張し、胆汁は濃緑色粘桐性で胆砂を含hでいたが、物理的閉塞箇所はみられなかった。病理組織学的には、顕著な胆道系の炎症、胆汁性肝線維症および胆汁栓の形成が認められ、閉塞性黄痘であることが確認されたが、閉塞の原因を特定するには至らなかった。胆道系の機能不全が胆汁排泄障害の一因となった可能性があると考えられた。